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製品に付いているボルトを見ると、組み立て最後に心を入れて封印したかのような人間性を感じます。ボルトやネジってプロダクト製品の中で人間をワクワクさせる最小単位のように思えるのです。
小学1年の頃、ラジコンのシャシー裏のネジを見つけた時、この中に何かキラキラした素晴らしいメカが入っているんだろうと分解の衝動が抑えられなくなり、誰かが組み立てたのだからきっと元通りに戻せると、自分に強い自信を持ちながら、父の工具を秘かに持ち出しワクワクしながら分解を勤しみ、買って一ヶ月で不動車にした記憶があります。今でもボルトを見ると分解して中を見たくなる衝動が抑えられなくなることがあります。皆さんもありますよね?
工業デザインを行う時、ボルトやナットは安全基準などを満たした既製品を使用することがほとんどですが、たまに自分のデザインしたモデル用に特製のボルトやナットのデザインをさせていただくことがあります。そんな時ワクワクを封印する側の一役担う仕事ができる嬉しさと誇りを感じます。
人の心を揺れ動かすマクロなパーツデザインにも、そのプロダクト全体の想いやストーリー性を織り込みながら厳しい設計要件を満たすデザインが要求され、その集合体によりプロダクト全体のデザインが成り立っていくのです。
ボルト一本にもいろいろと想いが込められているなんて考えると、使っていて嬉しいものです。
( プロダクト動態デザイン部 PDユニット ユニットリーダー 猪瀬 聡 )