column 日々、思うこと separate

2022.06.27

コラム

色のはなし

ここ数年、母校で講師をさせていただく機会が増えてきました。専門科目のCMFと、教養文化科目の色彩学。今日は色彩学の話を少し。

人間は隣同士に並べた色の違いを果たして何色まで見分けることができるのか?様々な研究結果があるものの、1943年にNickerson他の研究チームが明らかにした750万色が上限だとされています。

では、その750万色について、全く同じように見えているのかというと、厳密には誰一人として同じ色には見えていないと考えられます。虹彩をはじめとした目の機能自体の違い。380〜780nmとされる可視光の視認の違い。性別によるテストステロンの違いによっても色の見え方が異なります。そう考えると、我々が普段行っているプロダクトにおける塗装色の確認も、メンバーそれぞれで見えている色が微妙に違っているはずです。同僚やクライアントと何度も意見を戦わせた過去が覆るような話ですが。。

五感からの情報収集において、視覚が果たす割合は87%だと言われています。一方で、みんなそれぞれ違った色に見えている。そこには機械とは異なる人間らしさが存在します。さらに、地域や文化によっても色の持つ印象が異なっていることを考えると、答えは一つではない。だからこそ色に関わる仕事は面白く、デザイナーの果たす役割が存在するのかもしれません。

( CMFG動態デザイン部 / 経営企画部  井上弘介 )