column 日々、思うこと separate

2022.02.25

コラム

地球人という発想

昨年も困難な1年であったという実感、国を問わず誰もが同じ思いだろう。とはいえパンデミックが全ての悪の根源というよりも、既に始まっていた「分断が進む世界」を加速させた点にタチの悪さを感じている。

日本にとって最高の年となるはずであった2020年。そんなこんなでオリンピックは翌年開催となり、その年がSFのAKIRAで描かれた2020オリンピック前年を舞台としたディストピア的世界と重なった偶然に驚いた人は多かったようで、自分もその一人だ。一方、長く夢のSFのテーマであった民間宇宙旅行の時代が同じ年に到来したのは、皮肉な偶然なのだろうか。

思えば未知の生命体からの攻撃によって人類が困難に陥るSF映画の中で、国境を越えた団結によって危機に立ち向かうシーンは定番である。そう、共通の敵襲来の時、我々は団結できる。今はまさにその時だ。

現実世界で人々の心を一つにまとめるのに必要な力、それはカリスマ的な指導者の存在が唯一の解ではなく、誤解を解きながら相互コミュニケーションを促す力こそ鍵となる。我々が行うデザインには、わからないもの、わかりづらいものをわかりやすくする力がある。困難な時代にその役割を果たせていけたらと思い、業務に邁進する日々である。

( プロダクト動態デザイン部 デザインディレクター 坂亀 弘志 )