COMPANY

株式会社GKダイナミックス 代表取締役社長
菅原義治
㈱GKダイナミックスは、GKデザイングループの一社としてモーターサイクルを中心に、ライフスタイルをより豊かにするプロダクトのデザインを行っています。「使う人」を常に物造りの中心に据えた我々のデザインは、五感に様々な快い刺激を与え、定番として心に残るカタチと成ります。
略歴
1991年立教大学経済学部経営学科卒業後、㈱GKダイナミックス(東京)、GK Design International Inc.(L.A.)で雪原から海上まで、様々な環境を見極めたプロダクトデザイナーとして活躍。世界各地でのデザインディレクター、プロダクトマネージャーとしての経験を活かし、新たなデザインの可能性に臨む。
東京都豊島区高田3-30-14
山愛ビル2F
電話:03-3989-9961
FAX:03-3981-5318
概要
設 立:1988年
資 本 金:1000万円
取引銀行:三菱UFJ銀行高田馬場支店
みずほ銀行高田馬場支店
りそな銀行池袋支店
所属団体
JIDA(ジャパンインダストリアルデザインアソシエーション)
日本色彩学会
日本デザイン機構
日本スポーツ産業学会
代表取締役社長 菅原義治
取締役副社長 松浦雅彦
取締役 清水尚哉
取締役 與語武彦
業務内容
デザイン
プロダクトデザイン、グラフィックデザイン、パッケージデザイン、カラーリングデザイン
企画・調査・コンサルティング
ブランディング企画、コンシューマプロダクト企画、地域・事業開発に関する調査およびコンサルティング、デザイン企画の調査および提案、地域産業活性化計画に関するコンサルティング支援
講演・セミナー
デザイン講演、学生向けデザイン教育、ジュニア向けデザイン講習、国内外インターンシップ実施

WORKS






TOPICS
求人案内
<会社説明会のお知らせ>
GKデザイングループは2021年4月の新卒採用に向けて、10月20日に京都、27日に東京にて、会社説明会を開催しました。
GK Dynamicsをまじめに楽しむ
デザイナー達が「放課後」に創ったモノや楽しんだコト、デザイナーの目を通して視る日々、HPのスケッチの製作コメント等を各SNSで紹介しています。
デザインセミナー
2020年2月頃に、大学3年生と大学院1年生を対象にしたスチューデントセミナーを開催予定です。詳細が決まり次第こちらで告知いたします。
COLUMN
「 菊の季節に思うこと 」
この時期になると、毎年新宿御苑で菊花壇展なる催しがあり、そこに大作り花壇が展示されます。一株の茎から半円形状に伸びた数百の枝先に、ひまわりの種のフィボナッチ配列の様な数学的な配置で咲く菊の様は、まさに壮観です。
感覚に差はあると思いますが、あたかもデジタル工程を経て出来たような状況が美しく気になります。似たようなものに、ドライフラワーで見掛ける蓮の花托がありますが、こちらは集合体恐怖症(トライポフォビア)の例に出されるように、何か見る者の心にゾワゾワとした違和感を抱かせます。私自身は違和感程度ですが、嫌悪感を持つ方も多いですし、逆にフェチなほど好きな方がいるのかもしれません。
集合体恐怖症自体は、太古の時代より危険生物の見た目や伝染病の発疹などの様から、人に危険を警告しているという説明が定説とされます。命を守るためにDNAレベルに刻まれた生理的な記憶といったところです。
面白いことに、このゾワゾワした感覚はどんどん伝播していきます。凹みだらけの蓮のドライフラワーを見ただけで、乾燥前の実の詰まった肉感的な形や触感などが想起され、あたかもそれに触れたかのような感覚が皮膚に伝わり鳥肌が立つという具合に、視覚からリアルな触感まで繋がる構造で人の中に広がります。
最初の入力とリアルな感覚が生成されるまでの要因は人により様々ですが、デザイナーが日々考える美しさも同じ構造で出来ているのかも知れません。
美しいと感じることが、DNAの生理的な記憶のみならず、生まれてから会得してきた全ての記憶と五感をフル稼働して人の中で生成されたリアルと捉えてみると、実はそれ自体が、各々の頭の中でその都度生成された感覚としてのみ存在しているだけかもしれないと思うのです。
翻って「美しいデザインとは?」と考えてみると、単純な見た目に限定すれば、状況を分析して最大公約数的なエッセンスを取り出した旨味調味料の様な物は作れるかもしれませんが、万人の中に美を生成する万能調味料には成り得ない。結果的に、万人の認める絶対的な美しいデザインなど存在し得ないのかもしれません。
それでも、少しでも多くの人が美しいと思えるデザインを増やして行けないだろうか?、などと考えてしまう年末の夜長です。
(プロダクト動態デザイン部 シニアディレクター Y・T)
「 シートエレメントの重要性について 」
少し前の話になるが10月の東京モーターショーで出展されたコンセプトモデル(電動モーターサイクル) のCMFGを担当した際にモーターサイクル(以下MC)のシートの重要性について思い知らされた。
プロジェクト終了後に展示会の視察も兼ねて会場に足を運び、ショーモデル周辺を観察していると、図らずも観客の感想が聞こえてきた。 中でも多かったのが、繊維素材を使用したシートについての声で、このモデルの大きなキャッチポイントとして素材感が大きな役割を果たしたことが確認できた。
然もありなん。モーターサイクルにおけるシートは自動車のようなインテリアと違い、エクステリアとして存在する。 さらにはその車体におけるシートの面積はおおよそ全体の10〜20%を占め、今回のようなスクータータイプはさらに大きい。 これほど大きな部分にデザインを施せるのであるから、その効果が大きいのは当然だ。
このシート素材を選んだ経緯を簡単に説明すると、当初このモデルのCMFGコンセプトを進めるにあたっては、 電動モーターサイクルであってもステレオタイプの環境保全を謳ったクリーンなだけのデザイン訴求ではなく、「遊びの心」と「先進技術」という二つのコンセプトを対置させような見せ方を目指して、車体の上半分にはメカニカルな印象と真逆となる柔らかい印象の素材を使ってみようという流れとなった。
「対置」といっても車体全体のカラーイメージとのバランスがチグハグになっては意味がない。やはり双方を引き立てあう素材となると、手元にあるサンプルではなかなかいい素材が見つからず、西日暮里の問屋街をめぐることにした。ここでの膨大な素材群から最適なものを探すのは非常に骨の折れる 作業だったが、その反面これまでシートの素材として考えた事もなかった素材を見ているとモーターサイクルのCMFGデザインはまだまだ新しい見せ方ができると思わされた。 実際にシート素材の選択肢は他のパーツ群に比べ極めて少ない。
なぜか? それはシートに突き付けられる製造要件が他のパーツに比べとても高く、使用できる素材が限られているからだ。様々な天候変化にも耐え、ライダーとマシンをつなぐ接地感や、疲れにくい快適性能などなど、シートに要求される要件は実に多岐に渡る。 しかしその厳しい条件がゆえに制限され続けたその領域は、まだまだデザインの可能性を秘めたデザイン領域のブルーオーシャンとも言える。
古来、乗馬の際に用いる鞍などは蒔絵や象嵌も施され、その存在感は非常に崇高な物であった。コネクテッド機能や電動化など、多くの最新技術が投入され、様変わりしていく現在のモビリティ市場だが、それと同じくしてそれを包み込む外装のあり方も改善していかなければならない。
(CMFG動態デザイン部 ユニットリーダー A・E)
ストリームライン。より速く、より高く、より遠くは人類の憧れです。そのロマンを乗り物が具現化しはじめた際に立ちはだかったのが、目に見えぬ「空気」です。この見えないものが形に機能を与える扉をひらいた時代がありました。1930~1940年代のアメリカ工業デザインの代名詞です。その後、時代を越えても乗り物と道具に空気と動きという問いを与え、鍛え続けたのです。空気のある星、地球が生み出した道具と流体力学の原理は自然界の美意識なのです。そしてストリームラインはGKの乗り物のデザインの原点でした。
私が入社したころ、社内でもよく耳にした懐かしいフレーズです。GKはバウハウスに学んだクリーンなモダンデザインとともに、華やかなアメリカのインダストリアルデザインとの双方から大きな影響を受けています。相反するものであるストイックとエモーションを、GKインダストリアルデザイン研究所は研究対象とし内在化しました。
モダンデザインとトランスポーテーションのデザインは一線を画します。動くモノと動かないモノでは世界観や理論が異なります。しかし共通しているのはシンプルな機能美です。ストリームラインは流体力学の理論をもとに生み出された飛行機の空気抵抗を減少させる形態のことで、鉄道や自動車にも反映されました。またデザイナーは本来の機能よりもその流線型という形自体を要素として取り入れ、街に路上に家電製品にインテリアに、あらゆる物に影響し一世を風靡したのです。
そのストリームラインが象徴するものは飛行機の形態進化です。1930年代、乗り物の変遷は目覚ましく、人や物が移動するスピードが飛躍的に速まり、結果そこに立ちはだかったのが空気抵抗です。例えばバイクでも210Km/hを越える辺りから風圧は暴力的に高まるのを実感できます。まずその洗礼を浴びたのが飛行機です。複葉から単葉へ、布張りから金属へ、内燃機関の進化も伴い、馬力も上がり、空気の密度を感じ、形態が空気中を移動するには空気抵抗の減少が不可欠となりました。
デザイン史では飛行機について多くを割きせん。それはデザイナーが開発に関わっていない、否関われない分野だからでしょうか。工業デザインの中で飛行機はデザイナー不在の、機能と形態が表裏一体となって美しいものとなっている稀有な分野です。
因みにエアロダイナミックスは空力でクルマを地面に如何にグリップさせるかのエアマネージメントのことで、空中での力学とは別のものです。
「ダグラスDC-3」
デザイン史では通例この「DC-3」が流線型の象徴として語られますが、私には疑問です。余談ですが少年時代「DC-3」のフライトを羽田や立川に通い、間近でよく見ました。当時、初飛行以来まだ20年程しか経っていませんでしたが、既に印象はどこか古臭くいわば「空飛ぶおばちゃん」でした。シャッターを押す気にならなかったのは子供心に限られたフィルムを使うには残念な機体だったからなのでしょう。当時最新のストリームラインが施された機体や超音速機など、飛来する機体の目覚ましい進化を目の当たりにした少年の目には、傑作機とはいえ色褪せた形態でした。しかしアメリカで改めて見た「おばちゃん」の元気な飛行姿は新鮮でした。「DC-3」の軍用型である「C47」が戦後多数民間に払い下げられ、各国の航空路線で活躍し、空の旅を普及させたのはこの機体の功績です。

「ロッキードP38」
1939年「DC-3」に遅れること3年余り、全身これ流線型を纏い、空飛ぶアスリート「ロッキードP38」が登場しました。日本が実用化できなかった排気タービン過給機を装着するためのユニークな双胴体の高速機は、見るからに時代を超えたフォルムです。鬼才ケリー・ジョンソン率いるロッキード機は、以後斬新なデザインの高速機の代名詞となります。流体力学を追求し、見えない空気との闘いの過程で幾多の機能に伴う造形を生み出した設計者です。「高性能機は見た目も美しい」という言葉はデザイナーのいない飛行機の鉄則なのです。

見えない筈の「空気の流れが見える」のに感銘を受けたのは英国で初期型に接した折です。秀逸で流麗なティアドロップの胴体と液冷エンジンナセルのフォルムに設計センスを超えた高い美意識を感じます。優れた設計者は高い3次元の造形能力を合わせ持っています。

このコックピットに座った1人に、飛ぶことを生涯愛したかのサン・テグジュペリがいます。周囲の反対を押し切り志願し、北アフリカ沖で単機偵察飛行中に消息不明になった最後の乗機がこの「P38」です。(後に海底から発見確認された際、彼の著作を敬愛しながら、そうと知らず彼を撃墜してしまった操縦士は深く悲しんだそうです)。

流麗な主翼と機体のフォルムが美しいロールの軌跡を描き、英国の青空に映えます。隣機の大馬力で引っ張る典型的なアメリカ流のF4Uコルセアと対比する異端の空力洗練流線型のロッキードの上昇反転です。
※4枚の掲載写真は英国とUSでの筆者のアルバムからです。
(フリージャーナリスト 一條厚)