column 日々、思うこと separate

2020.01.20

コラム

11 x 17

紙に絵を描こうとすると大抵はA4サイズかA3サイズだと思います。オフィスのプリンターに入ってるのもこの2種類が多いでしょう。白銀比(1:√2)のA列は大きさが変わっても縦横比が変わらず便利ですね。A4に描いた絵をコピーで拡大してA3に出来ます。

当たり前のようですが、この便利さに気づいたのはアメリカで仕事をしたとき。あちらではA4、A3の紙は普通では手に入りません。プリンターに入っているのは「8½×11」 と「11×17」。単位はインチですがA4、A3に近いのはこの二つ。「エイトアンドハーフバイ」なんて言うと長いので「レター」と「タブロイド」と言ったりします。ANSI(アメリカ版のJIS)で決められているので、A列を使うことは諦めなくてはなりません。作ってないのですから・・・。

レターの倍がタブロイドなのですがA列(1:1.414)と違ってレターの縦横比がより正方形に近い(1:1.294)ため、タブロイドでは逆に長辺が長い(1:1.546)。レターで描いたスケッチを拡大してタブロイドで印刷すると左右が余り、逆だとレターで上下が余ってしまうわけです。

しかし、私はこの「11×17」の縦横比が何故か好きでした。白金比のA列よりも納まりは悪く、逆に構図の意図を出しやすいのかもしれません。もしくは単純に構図を取るのに慣れ親しんだ24mm×36mmのライカ版の比率(1.1.5)に近いせいなのかも知れません。

現在はデジタルなので画面に合わせた1024×768とか、パワーポイントに合わせた4:3や16:9など自由に縦横比が選べます。日本人が好む白金比とか、最も美しい比率は黄金比(1:1.618)とかいろいろと言われていますが、いつもと縦横比を変えて絵を描いてみるのも面白いものです。

(プロダクト動態デザイン部 ユニットリーダー 麥倉 毅美)