column 日々、思うこと separate

2024.04.08

コラム

ヒーローとしてのデザイナー

マルチェロ・ガンディーニというデザイナーをご存じだろうか。おそらく40代以上なら、彼の名前は知らなくてもランボルギーニ・カウンタックやミウラといったスーパーカーは聞いたことがあるだろう。彼はそれらを手掛けたデザイナーである。私が幼少のころ、スーパーカーブームというものがあり、玩具や漫画などでも度々登場し、珍しい実車を目にすることがなくても身近な存在であった。数あるスーパーカーの中でもカウンタックの「見た目」は異彩を放っていた。楔形のシルエット、エッジの効いたボディ、特に大型のリヤウイングとリトラクタブルヘッドライト、シザードアは子ども心に突き刺さり、私の中でスーパーカーの象徴となった。実のところ、ガンディーニの手掛けたモデルは造形としてのマスターピースにもなっており、車だけでなくジャンルを超え、その後来るロボットアニメブームのデザインなどにも影響を及ぼしている。この様な事からも彼は私にとって正しくヒーロー呼べる存在であった。

近年においてデザインの定義は複雑になり、「見た目」が担う役割は縮小傾向にあるが、彼の様な子ども心を刺激する職業であることを願っている。

( プロダクト動態デザイン部 マスターデザイナー 竹﨑 彰一 )