column 日々、思うこと separate

2023.11.06

コラム

愛着のクリエーション

プロダクトデザインの課題として “愛着を持って使ってもらえるモノづくり”があります。愛着によってモノを大切に扱う様になり、ロングライフ化に繋がってくるからです。
“愛着”って何?と考えると難しいのですが、“飽きない”と考えるとその理由を炙り出すことができます。

私の家では犬を飼っているのですが、毎朝早く起きて散歩に行かなきゃとか、お出かけが制限されるとかの面倒くさいことも吹き飛ぶぐらい、毎日癒されています。これが今のロボットペットだとすぐに飽きてしまうでしょう。
違いを考えてみると、豊かな表情があり、寄り添ってきたり、吠えたり、思いがけないリアクションがあったりします。こういった双方向のノンバーバルコミュニケーションが成立するかどうかが、愛着の秘訣と言えそうです。

考えてみるとモーターサイクルの特徴は、エンジンや路面と対話し、ちょっと頑張ってみたり、しっぺ返しを食ったり、ノンバーバルコミュニケーションの塊と言えるところにあります。そんな優れた素材に対して、色や形だけでなく、愛着を育むコミュニケーションや、育てるところまで考える事は、デザイナーの挑戦エリアと言えるでしょう。

( プロダクト動態デザイン部 執行役員 太田裕之 )