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真珠と聞いてイメージするのはどんな形?
おそらくは丸い球ではないだろうか。綺麗な丸い形は多くの人にとって美しく、真珠の質感は勿論のこと、その丸い形も真珠の価値の一つだろう。しかしこの形は自然に生まれるものではなく、人間が別の貝を削った核を真珠貝の中に入れて養殖しているから。キラキラした美しい質感は表面のみ、いわば美しい真珠のメッキである。
下の写真は琵琶湖真珠。その形は平たかったり、凸凹していたり…、不均一でばらばらなのは、人工的な手は加えないで、自然にまかせて養殖を行うためだ。しかし、これらはメッキではなく真珠100%。カットしてみても中心まで正真正銘の真珠であるので、そういう断面を見せる商品もあるそうだ。
さて、考えてみて欲しい。消費者にとって価値があるのはどちらだろうか?
完全な美しい形だが、中身は別の貝の薄い皮膜の真珠?
それともいびつな形だけれど中心まで真珠素材の真珠?
不均一な自然な形は、不細工なのか?唯一無二な可愛さなのか?
デザイナーにとって大切なのはそれを考えることだ。もちろん色や形は大切。しかし、それぞれにはそれぞれの価値があり、その価値を発見し伝える作業もデザインなんだと思う。
( CMFG動態デザイン部デザインディレクター 永井智 )