column 日々、思うこと separate

2023.08.07

コラム

観るという事

先日、ある航空機の博物館に行ってきた。コロナ禍中、インターネットで見つけた場所にようやく行くことができたという運びである。行けない期間も気にはなっていて、関連情報の収集は行っていた。約三年分、貯まった情報を携えて見学を開始した。

見学中、自分の鑑賞方法について気がついた事がある。これまでネット等で得た情報の答え合わせを行っているのだ。それはそれで楽しくもあったが、自分自身と展示物の関係が少し薄い感じがした。物足りなさを解消すべく二周目をスタートしたところ、自分の見方や感じ方に変化があった。細かい作り込みや傷や汚れに気が付くようになり、そこから当時関わっていた人々の気配を感じた。実体を通して色々な対話を感じさせてくれるモノは、やはり「イイモノ」だと思うに至った。

情報を擦り合わせながら見ていた一周目もとても楽しく、知の習得としては面白かった。しかし、二周目の感性的なものの見方の方が、結果的に印象に残ったように感じた。以前から多くの博物館美術館を訪れて、無意識に行っていた鑑賞物との対話が、一定の期間、極端な状況にいた反動で改めて認識できた。この比較が私には貴重な収穫だった。

( デジタル戦略部 ユニットリーダー 梅本武志 )