column 日々、思うこと separate

2023.01.30

コラム

「セミドロップハンドル」のロマンと工学

昔の話だが、子どものころ、セミドロップの自転車がかっこよかった。

もちろん当時も本気スポーツはドロップハンドルだったが、独特な使い方でわかりにくく、自分ゴトになりにくい。一般の自転車と似ていて、それでいて低く構えたセミドロップがかっこよくみえた。私もそんな自転車を買ってもらった。

 最近、持っているMTBを改造したくなった。ハンドルはシンプルな棒、フラットバーがついている。山で激走!前後上下に暴れる車体をコントロール!みたいなときはこれが使いやすい。ところが最近は林道みたいな悪路を走るくらいである。そうなると人間工学的に不自然な手首のねじれが気になってくる。

ということで、数十年ぶりのセミドロップです。

改造して悦に入っていると、大学生の息子が「変なハンドル。それで山に行けるとは思えない」とコメント。ロマンのわからない無粋者め。客観的には、共通体験のない人がロマン共有できないのはあたりまえです。特別な体験だからこそ、強い思い入れが生まれるのでしょう。

 さてハンドルの手首の向きを変えると、巡行は楽になり、車体姿勢はわかりにくくなりました。なるほど。

はたして、山では楽しく乗れるでしょうか。

( プロダクト動態デザイン部 デザインディレクター 三富 貴峰 )