column 日々、思うこと separate

2022.12.05

コラム

モーターサイクルデザイナー

私が欧州に出向してから知った日本との違いの1つに、現地スタッフは自らを「モーターサイクルデザイナー」と言う事がある。

私の在籍しているGK Dynamicsは総合デザインファームのGKグループに所属しており、モーターサイクル(以下MC) のデザインがしたくて入ってきた者と、デザインの対象の1つとしてMCを捉える人が混在している。

当時でもモノからコトのデザインへ移り始めており、自分の役割を狭める様な「モーターサイクルデザイナー」という言葉は日本には無かった。

そのスタッフに理由を尋ねてみると、「優秀なデザイナーや有名なデザイナーが、良いMCのデザインができる訳じゃない。MC乗りのマインドやMCならではの機能性を知らずに良いデザインは出来ないからだ。僕たちはデザイナーである前にモーターサイクリストなんだよ。」と教えてくれた。

いわばデザインの職人なのだが、それ故に愛好家の心をくすぐるデザインが今でも多く欧州から生み出されている。

私達にも、脈々とつながる職人的専門性がベースにしっかりある。デザインの広がりや総合性は、それらの土台があったうえに初めて構築できるモノだと最近改めて思う事が多い。「モーターサイクルデザイナー」という言葉が日本にも定着すると素敵だと思う。

( プロダクト動態デザイン部 執行役員 太田 裕之 )