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2022年度 東京大学 産業実習

東京大学機械工学科の学生を対象に産業実習を行いました。この活動は二十年近く続いている恒例行事ですが、この9月に行った実習も昨年同様、そのほとんどの工程をリモートにて実施しました。

今回取り組んでいただいた実習テーマは、『コミュニケーションにおける問題を解決する新しい体験デザイン』として、実習生が普段の生活の中で感じている問題を抽出し、自ら解決手段を考えてもらいました。また、「デザインのプロセス」を学びたいという希望から、普段私たちデザイナーが行っている、着想からの展開、そして提案までのプロセスを体験する実習内容としました。短い実習期間の中で、普段あまり知りえない「デザインプロセス」をぎゅっと凝縮して体験することとなり、中々苦戦することもあったようです。ですが、毎日のインストラクターとのブレストとやり取りの中で、新たな発見や経験をして、多くのことを吸収していただけたのではないかと思います。

今回の最終的な提案は、「大学の新入生と在校生の、キャンパスを通じた学年間の繋がりを作る体験のデザイン」となりました。新入生は探検者。キャンパス内を探検することで、在校生が仕掛け人として仕込んだ、まだ知らない大学の情報という「お宝」を探していくような体験です。実習生自身の経験や発想を多く取り入れた、問題点の抽出と体験価値のデザインとなり、最終のプレゼンテーションでは多くの方に共感を得られるような内容となりました。

社会や会社といった大きな枠組みの中では、様々な考え方を持つ人と仕事をすることとなります。その中では、相手の考えをより深く理解し、共感できる力は重要なスキルの一つです。今回の実習で、このようなデザイナー視点の「モノゴトの考え方」を体験して、新たな視野の開拓ができたのではないかと思います。この実習体験を今後の活動に生かしてもらえれば幸いです。

(プロダクト動態デザイン部 デザイナー 市瀬 更紗)