column 日々、思うこと separate

2022.09.26

コラム

なぜ消防車両は赤いのだろうか?

日本では、昭和26年発令の「道路運送車両の保安基準」によって消防車は赤であることが定められている。これは当時の消防車が主に海外からの輸入品であり、赤色だったことに由来する。ではなぜ海外の消防車は赤かったのか?これには諸説があるのだが、機能面と心理面の二つの理由があるようだ。

機能面としての理由は、18世紀ごろの消火活動についてはボランティアが行なっていたため、安価で防腐効果もあった赤色の塗料が使われていたようだ。

もう一つはステータスとして赤だ。古来から、高貴な人々は威厳を表すために赤色をまとう慣習があった。それは馬車や自動車などにも用いられ、消防車にも転用されていき、いつしか消防車の色として定着したと言われている。さらに人が本能的に”火”の有様を”赤”として認知しているという影響もあるのだろう。

このように消防車はなぜ赤いのかを多角的に説明できるように、我々はある色を提案するときに、常に筋道の通った説明を思案する。しっかりと考察を深めていくと色の候補はそれほど多く存在しえない。我々カラーデザイナーは、この色を選ぶまでの考察に多くの時間を費やしているのである。

( CMFG動態デザイン部 シニアディレクター 江頭 淳 )