column 日々、思うこと separate

2022.01.27

コラム

一回性

正月休み、子供の書初めにて。

お題を三枚書き、その内の最も良く書けた一枚を提出する宿題。一枚目はお手本を下に重ね、なぞって練習。二枚目は一呼吸おきエイっと勢いで一筆、良い感じで書き進めるが途中一文字バランス崩れ、あぁと嘆くが最後まで書き切る。失敗した文字を別紙で何度か試し書きし、最後の一枚に臨む姿を見てふと思うことがありました。

「心画」とも例えられる様に、やり直しが出来ない一度きりの緊張感、その時の心情や体の状態、勢いが目に見えて現れる書。

デザイン実施作業ではスケッチ、クレー、CAD、其々のステージでトライ&エラーを幾度も繰り返しながら納得のいくカタチや答えを探っていきます。PCや道具の進化によりトライ&エラーがし易くなり再現性の恩恵を受ける一方、コピペやCtrl Zに慣れて気が緩んでしまう時もあり、アナログツールであれデジタルツールであれ、表現する時の心情や勢いはどこか現れてくるもので、見る側に、見抜かれてしまうことも。

何度も出来るとしても、その行為の中での“一度きりの緊張感”、その姿勢を忘れずに臨むことを示してくれた書でした。

( プロダクト動態デザイン部 ユニットリーダー 木下 省吾 )