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2021年度 産業実習

東京大学機械工学科の学生を対象に、産業実習を行いました。この活動は二十年近く続いている恒例行事ですが、コロナの影響により、この9月に行った実習も昨年同様そのほとんどをリモートにて実施しました。

今回取り組んでいただいた実習テーマは、現在の社会状況と、オリンピックイヤーであることを鑑み、以下の内容としました。

『アフターコロナを想定した、スポーツを楽しく共有できる方法』

今回の実習生自身が、スポーツへの関心がとても高いこともあってこのテーマに設定しましたが、同時に、体験を他者に共有することの大切さと難しさを学んでいただく狙いがありました。

実習生が選んだ種目はボート競技。その理由は、「選手同志のシンクロ率が醍醐味である競技なのに、その面白さが観客に届いていない」という実体験を通して感じていた課題からでした。

具体的な提案は、「デザインを通じて観客と選手のシンクロ率を視覚化し、新しいエンターテイメントとしての提案を行う」という内容でした。この提案が実現されればコロナ禍で直接観戦することができなかったとしても、観客に臨場感を伝えることができます。

一方で、確かに面白い着想ではあるものの、見えないシンクロ率をどう視覚化して観客に伝えるのか。ソフト面もハード面も全くゼロからのスタートです。難しい挑戦ではありましたが、会話を重ねることで最終的にはとても魅力的なアウトプットにたどり着きました。

今回の実習を通して、デザインとは『イロ』や『カタチ』を考えるだけではなく、仕組みも含めたクリエーションであること。そして、課題解決に向かう道標となることを体感していただけたようです。今回の実習体験を今後の活動に生かしてもらえれば幸いです。

今回の実習を通して、我々自身もコロナ禍における「人との新たな繋がり方」を考える有意義な機会となりました。

( プロダクト動態デザイン部 チーフデザイナー  西野 雅弘 )
( CMFG動態デザイン部 デザイナー  川那部 晋輔 )