column 日々、思うこと separate

2020.07.14

コラム

「分かる事」と「出来る事」は違います。

大人であれば「分かった上で出来る」というプロセスが通常で、「分かっていないけど出来る」という言葉には違和感があるかもしれません。しかしながら、誰しも「出来る事が先」という経験があったことも事実です。

例えば小学校で学んだ九九。「インイチガイチ」「インニガニ」といった、語呂にもなっていない八十一の言葉を呪文のように毎日繰り返す事でいつの間にか掛け算が出来るようになり、少し遅れて掛け算の仕組み自体の理解も深まっていく。このように、まずは「反復練習」や「日々の積み重ね」を行う事で理解が後から追いついてくる事例は、スポーツや楽器の演奏、外国語の発音にもあてはまるかもしれません。
 
では、デザインはどうでしょうか。
デザイナーの仕事も、入社してすぐの頃は「出来る事が先」という経験が多かったように記憶します。先輩が発する「もうちょっとシュッと」「もう少し太めの1mm」といった言葉は、何かの暗号かと思うほど理解ができません。しかし、分からないながら手を動かしてスケッチやモックアップ作りを繰り返す事で次第に出来るようになり、さらに言語化して後輩に伝えていく頃には、自らもその理解を深めている。
 
言い換えれば、反復練習を繰り返した先にある「分かる事」とは、「型」と捉えられるのかもしれません。GKとしての「型」、あるいはCMFGとしての「型」を一つ一つ身につける事で成長し、さらにその「型」を極めた提案、もしくは「型破り」な提案をプレゼする。そうしたそれぞれの「型」に魅力があるからこそ、この仕事を長く続けられているのだと思います。
 
魅力的な「型」はもちろん、多様な個性や考えを受け入れる土壌と組織文化がこの会社には存在します。タイプの異なるデザイナーの個性を組み合わせて、物事の本質を静かに見極めた上でデザイン提案を行う。「グワッと」「シュッと」「太めの1mm」といった社内でしか通じない言葉の数々も、まずは「GK流の型」を身につける反復練習の表れなのかもしれません。
 
( CMFG動態デザイン部 / 経営企画部 井上 弘介 )