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以前見学に行った墨田区の革靴工場の話です。
レザーの保管庫に始まり製品の箱詰まで、革靴づくりの全ての工程が見学できた。そこは同業他社の見学も受け入れていて、企業秘密であろう靴の型や国内外レザーの取引先との交渉の流れ、ヒトの足を長年観察し商品に織り込んできたアイデアなど、どんな質問にも包み隠さず答えてくれた。そこまで行う理由は、安価な靴に押されている日本の靴業界全体の活性と、革靴の魅力を若者に伝えたいという想いからだ。
その根幹にあるのはモノづくりへの絶対的な自信だと考える。どんな良い機械を使おうと、同じ工程や機械を活かす職人の手の動きや視線の向け方まで真似しようと、長い時間で造り出してきた知識・継承・信頼・協力の類にある、目には見えない空気が工場内に充満し、職人はここで呼吸をしながら成長している。それによりモノづくりへの自信と誇りが余りなく伝承され、責任のある製品を世に送り出すことができる。その魅力ある空気を吸いたくて若い職人が集まり、さらなる地域の活性にまで繋がっている。
“モノづくりの空気”は想像を超える多くの気づきと、強い広がりを感じさせてくれた。
(動態コンテクストデザイン部 デザインディレクター 猪瀬 聡)