column 日々、思うこと separate

2025.04.07

コラム

魅力的な未来的デザイン?

近年つとに感じるのが「若い人にとっては未来的デザインが昔ほど魅力的なものではない」という傾向だ。
今の若い世代はバイク好きでも、普段着と合わない未来的なレーサーよりもレトロ系を好む。
車にしてもスーパーカー的デザインは昔のように訴求しない。

理由としては、そもそも若い世代にとって未来が魅力的なものではないといった状況があるだろう。
昔はマルクス流の進歩史観が幅をきかせていたが、近年のトマ・ピケティはr>gの経済的不平等が拡大する未来を語っている。日韓中では人口ボーナス効果が終わり「子供の世代が親の世代よりも豊かになれない時代」が進行中で、未来技術のAIは人から仕事を奪い、SNSのエコーチャンバーが人々の分断や対立を加速させている。

今や価値観が異なる若い人と高齢年層を同時に満足させるようなコンテンツを生み出すことは至難であるように思われるが、例外なのが映画だ。近作だとトップガンマーベリック、ゴジラ-1.0、ガンダムジークアクスの3作品で、それぞれ古参のマニアに好評なのに新規の若い視聴者の評価も高い。
それらを参考に、世代を超えて魅力的な工業デザインを生み出してみたいものである。

(動態コンテクストデザイン部 マスターデザイナー 吉田 聡)