column 日々、思うこと separate

2025.01.20

コラム

迷即是道

 私は長い事モノのデザインに関わった後、所謂マネジメントという「モノをデザインする為のデザイン」をしています。面白い仕事ですが、目的地をまず決め、そこに至る道を描く様な事ばかりしていると、昔の様に紙を前に無性に手を動かしたくなる時があります。冒頭のイラストはそんな時に描いたもので、アウトプットノイローゼの私は時々こう言う事をしないと精神的便秘になるので、オモロいかどうか位の判断で無目的な絵を描くのは至福の時です。
 
 仏教には「煩悩即菩提」という言葉があり、菩提(悟り)もそもそも煩悩から出発しなければ到達できず煩悩があるから悟りもある、菩提とはそのまま煩悩だし、煩悩はそのまま菩提である、といった意味です。普段、目的地への道を創る様な仕事をすると同時に、趣味で無目的な迷いを楽しむ、と言う様な事をやっていると、実は二つは同じものではないか、と思う事があります。それで「迷即是道」なんて言葉を作って“迷えば即、是は道を創る事である”とか“道とは即、是は迷いを楽しむ事である”なんて嘯いて少しばかり楽しい思いをしているって訳です。

(執行役員 渡邊 拓二)