column 日々、思うこと separate

2021.02.01

コラム

課題と解決策を間違える人

 今回は『課題と解決策』についてお話します。課題と解決策を間違える人って偉そうに言ってますが、私はよく間違えます。(笑)こんな話を耳にしませんか?「この会社は何が課題ですか?」という問いかけに「この会社はイノベーションが課題です」っていう話。何となく会話がつながっている感じですが、これに違和感がある人はたくさんいると思います。そう、先に解決方法を話しているパターンです。本当に解決策だったら問題ありませんが、こういう時は間違っていることが多いです。当たっているならこんな問いかけをされるシチュエーションは来ないでしょう。

 相手に物事を伝える時、例えばクライアント、上司、仲間等に自分がデザインしたモノを説明する際に、デザイナーはこのパターンで話す時があります。「私のデザイン案のテーマは『軽快さ』と『斬新さ』です」「軽快に感じさせるため、ここを○○にしました。そして全体的に斬新さが生れました」って。話は通じます。しかし親切さが足りません。話が通じるのは課題が何となく共有されていればの場合で、そうでない状況では「ちょっと待って。なんでそのテーマを選んだの?」とモヤモヤした状態で話を聞くことになります。話を聞いているうちに「あなたが解決したい課題は○○なのね」と聞く側に考えさせる時間を与えてしまっています。そういう意味で親切ではないと言えるのです。最後まで解決したい課題が何かわからないまま説明が終わると最悪です。話を聞いていた時間を返せと言いたくなります。(もちろん奥手なんで言いませんが。)

 実はこれ私がしてしまいます。実際の『会話の流れ』と自分の頭の中の『会話イメージの流れ』とのスピードがズレるときによくやってしまいます。緊張しているからでしょうかイメージが先行し、自分では伝えたつもりで話を進めているが伝わっていないことを会話の途中で気付き、「なぜ先程そう言ったかといいますと…」「先に答えを言っちゃいましたが…」とかなんとか言ってごまかします。(私がこのフレーを話したら「緊張してる?」と突っ込んでください。)

 違和感がある冒頭の話に戻ります。この場合のイノベーションは解決策で課題ではありません。イノベーションという手段が目的にすり替わってしまっています。こうなると「イノベーションとは?」「どうしたらイノベーションと思われるか?」などばっかりに頭の中が支配され本来の目的が置き去りになってしまいます。課題と解決策を間違えると本来の目的や意義を失ったまま行動することになり混乱を招きます。またそこにかかわる人たちのモチベーションを粉砕してしまいます。気を付けないといけませんね。

( プロダクト動態デザイン部 デザインディレクター 坂田 功 )