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少し前に、ホンダが「Honda 0シリーズ」などのEV3車種の開発中止を決定したとの報道がなされた。昨年のモビリティショーで注目を浴びていた車が、量産されて公道で走る未来を完全に断たれてしまった。開発に携わった方々は、さぞかし無念であっただろう。
車業界に限っても、訪れることなく消えた未来はどれだけあるだろうか。
90年代末、私の入社当時にはバラード社の燃料電池技術が未来の自動車界を牽引するという話が業界の常識であった。2008年、インドのタタ社が10万ルピーカーのナノを発表。報道によると廉価なインド車が途上国市場を席巻する筈だった。しかしエアコン付きのスズキの中古車に負けたナノは、10年後に生産を終了する。アップルやダイソンの自動運転車。多数の人材と巨費の投入の甲斐もなく立ち消えてしまった。
話題の未来に踊り、それに疑問を抱く者を未来を見ようとしない愚か者と見下せば、なんとも良い気分になれる。しかしそれは麻薬の気分の良さなのだろう。責任倫理を持ち、損切ができるように、常に自重を忘れないようにしたい。
(動態コンテクストデザイン部 シニアデザイナー 吉田 聡)