column 日々、思うこと separate

2025.12.10

コラム

2×17カメラデザイン

2台のカメラがある。どちらもアナログなハーフサイズフィルムを使うカメラで2024年と1964年、60年の時代差がある。
金属製の上面カバーが個性的だ。左の「PENTAX 17」は角ばったマグネシウム合金でメカニカルな要素が多い。中心部にあえてマイナスネジを持ってきてアイキャッチにしている。右のYASHICAはギラリと光る角の丸いカバーだ。硬いステンレスをプレスしているので角は丸くなる。それを活かした円と角丸造形は未来宇宙イメージを感じる。よく見るとシャッターの後ろ側にこれも「17」のモデル名が入っている。この写真は60年前のYASHICAのレンズで撮っていて、優しく温かく写っている。

PENTAX 17はデザインした鈴木タケオさん自身のカメラ。デジタル時代にあえてアナログなので、メカニカルなマニアックデザインが売りになる。
YASHICA HALF 17は60年代の主流。太陽電池による自動露出の先進性が売りである。生産性に優れたステンレスプレスを活かしたデザインで、古のGKデザインの名作である。60年の時代差があるけど、なぜか同じ名前。偶然会ったことがうれしい。そしてどちらもかっこいい。
良いデザインの感性価値は、時代の流れに負けずに、超えることができる。

(ハイブリッド動態デザイン部 デザインディレクター 三富 貴峰)