Copyright GK Dynamics Inc., All Rights Reserved.
今回は、そうなんだなぁ、と気づかされた話です。
海外駐在だったころ、カスタム中のバイクがやっと走行可能状態になり、テストライドの途中で赤信号で停まっていた時の事、介護施設から車が出てきて横に並んだのですが、助手席に座ったおばあさんがじっとこちらを見ているのです。眉間にしわが寄っていてサングラスしてるのもあって、怒っているようにも見えました。
信号を待っていると、おばあさんが少し窓を開けて何か話しかけてきました。面倒はいやなので、私は耳のアタリを指さして、ヘルメットで聞こえませんよ、とジェスチャーをして見せました。
そうしたらおばあさん、グー手首をクイックイッとひねるジェスチャーしてきたのです。
それはバイク乗りならわかるGAS!のサインです。なのでアクセル開けて排気音をブワッ!と出してみせたら、うわっ!と身震いしながらサムズアップととびきりの笑顔を見せてくれたのでした。
おばあさんがそういうことを知っている、しかもとても楽しんでくれた。オートバイ文化の深さを感じた一瞬でした。あ、自分はその世界の仕事をしているんだと。
そういう瞬間、大事ですよね。デザイナーにとって。
(ハイブリッド動態デザイン部 シニアディレクター 田村 純)