column 日々、思うこと separate

2025.05.19

コラム

文字から色彩へ

10年間のアメリカ駐在を経て、今年4月に日本へ帰任しました。

10年ぶりの日本は、日本語に溢れた、やはり日本人にとって心地よい空間であると再認識しています。至る所に丁寧な日本語の説明や注意喚起、標語が掲示され、さらにインバウンドの影響で多言語化も進み、都市は一層文字で溢れています。

対して、アメリカの多くの都市は情報量が少なく、特に商品のパッケージデザインでは、文字ではなく色彩による訴求が重視されます。米国では家庭内で英語以外の言語を使う層も多く、文字情報だけでは十分な訴求力がありません。大容量の棚で瞬時に選ばれるには、視覚的なインパクトが鍵となります。例えばOREOは、青のパッケージで棚の中でも一目で目を引きます。

私は駐在中、日本のクライアントに対して「文字から色彩へ」の発想転換の重要性を伝える役割を担ってきました。帰国後、再び文字情報の洪水の中に身を置き、色彩がいかに直感的かつ効果的なコミュニケーション手段であるかを、改めて実感しています。

(CMFG動態デザイン部 上席執行役員 金子太郎)