column 日々、思うこと separate

2024.08.26

コラム

フュージョンからの学び

 私が最近衝撃を受けたラーメンがある。それはラーメンとフレンチのフュージョンを謳うサーモンヌードル。

 美味しそうなラーメンといえば、立ち上る湯気に澄んだスープそして焼豚が麺を演出しているものが大半だと思い込んでいた。

 しかし、サーモンヌードルはそんな固定概念を吹き飛ばすビジュアルを持っていた。鮮度を感じさせる切り身、クリーミーなスープ、器の余白を生かしたソース。そしてなにより驚きなのは湯気がほとんどないことであり、むしろない方が完成度を高くしていると感じる。湯気はサーモンの鮮度を物理的、ビジュアル的にも下げてしまう可能性を持つからだ。

 暖かい食べ物にとって湯気は最高のシズル表現だと思っていた。だが新しいものを表現するには重要だと思っていた要素も根底から考え直すべきだと見せてくれた一品であった。

(CMFG動態デザイン部  Design Director 片平憲男)