column 日々、思うこと separate

2023.09.11

コラム

物から始まるブランドへの愛着

私は93年式K1100RSを25年前から所有している。今回はこのモデルを例に”愛着心”について考えてみたい。

物への愛着は心理学的に分析すると機能的側面、情緒的側面、自己表現的側面があるらしいのだが、私が愛着を感じる場合は”自己表現的側面”による所が大きい。というもこのKというモデルは非常にデザインがユニークなモデルだ。水平直列4気筒+シャフトドライブは世界で唯一の構造で、ボディのデザインもそれを中心に作られているのでとても独創的だ。もちろんカラーリングも気に入っている。

BMWの設計思想は低重心、メンテナンスフリーなのだが80年代初頭に生まれたKシリーズは、当時日本車を中心としたハイパワー化(水冷・多気筒化)にBMWの流儀で対抗したモデルだ。その時に当時主流の並列4気筒+チェーン駆動にしなかった所にBMWの意地を感じて魅了される。私が物に愛着が沸く時は、こういった進化をしながらも”事大主義”にならない意欲を感じた時だ。

しっかりとした思想とそれを鼓舞するデザインがあれば、多少利便性が劣っていたとしても、それがかえって魅力になるという事を我々は忘れてはならない。

( CMFG動態デザイン部 シニアディレクター 江頭 淳 )