column 日々、思うこと separate

2023.02.13

コラム

実感

出張中、ホテルのフロアにドラマの宣伝として日本刀(模造刀)が展示されており、触って良いとのこと。実際に触れるのは稀な物、夜分人気のない時だったので手に取ってみました。

持ち上げた途端ズシッとくる重量感、想像以上に腕の力が必要なことに驚く。鍔に指をかけ鞘から抜いていくとヌラっと光る刃が現れる。刃先は丸く処理されても、得も言われぬ緊張感を覚える。子供の頃習った剣道を思い出し、中段で構えゆっくりと振ってみたところ全く異なる感触。重心バランス、力の入れ具合、とても自在に操れる気がしない。映画などでは自在に振り回しているが、自分の中で抱いていた想像と実物のギャップがこれほどまでとは。しっくりくる握り方があるのかと試してみるが掴めず、剣人達はこんなものを扱っていたのかと驚きながら元に戻しました。

画像や映像は簡単に見れますが、見る際に視覚と共に体で覚えた感覚を思い出し、想像しながら見ることで受け取り方が変わってくる気がします。人が使う道具を考える際には様々な要素やアプローチがありますが、その内の一つとしてどの様な身体感覚を持って臨めるか考えさせられた出来事でした。

(プロダクト動態デザイン部 PDユニットリーダー 木下 省吾)