column 日々、思うこと separate

2020.12.10

コラム

モーターサイクルデザインの肝:その1

 
 プロダクト動態デザイン部の清水です。モーターサイクルのデザインに参加してもう30年近くになり、ずいぶんといろんな仕事させていただきました。この経験で得た「GKテクニック」を少し皆さんと共有いたします。モーターサイクル以外でもデザインという世界ではどこか通じることがあるかもしれません。皆さんの活動の参考となればうれしい限りです。
 
 モーターサイクルのデザインは構造が表に現れる興味深い世界でして、設計的に理にかなっている絵が描けるか描けないかで、まずは大きな分岐点があると思います。実は私も入社して5年くらいはそれが全くできませんでした。日々エンジニアの方々と業務を進めながら、その辺の肝を教えていただき、ある時それを意識した絵が描けるようになったのです。
 
 例えば、エンジンの搭載される位置、フレームが前後タイヤとどんな感じで連結されているか、ガソリンタンクの位置や大きさ、人がまたがった時に適切なハンドルの位置や内股が接する形状など。このあたりがすべて目に見えなくても、部品の内側でどんな感じで繋がっていて、どのくらいの幅で構成されているかが見えてくると、素直にデザインの良し悪しの議論が出来る絵になってきます。逆にそこが出来ていないと、「何かおかしいね」って議論の対象にもならない。
 
 また、前タイヤを連結しているフロントフォーク(バネ)の傾きや長さも重要で、大きく傾いているとゆったり乗れるアメリカンバイクになるし、立ってくると俊敏に動くスポーツバイクになる。それが限度を超えると事故車にしか見えない。
 
 こんな感じで、モーターサイクルは部品の集合体で、そのパッケージングによりいろんなキャラクターを作り分ける商品なので、「デザイン以外のデザイン」がポイントなんです。GKに入って一番驚いたことは、「エンジンデザインをする前に、エンジンの内部構造を理解してる?どこで爆発が起きて、ギアがどう組み合わさって力が伝達されているか解るとデザインに意味が見えてくるよ。」とアドバイスをもらったこと。深いでしょ!
 
 最近のモーターサイクルのデザインは、ガワ(プラスチックカバーやヘッドライト形状)がとっても個性的で刺激的なものが多いですが、そこに手を付けなくても充分デザインできる世界なんです。そんなエンジニアリング的デザインっていうのは奥が深い世界で結構楽しいですよ。(今回はここまで。続きはまた次回、、、。) 
 
( プロダクト動態デザイン部 ジェネラルマネージャー 清水 芳朗 )