コラボレーション活動
「Recycling Meets Design® Project」

未知なる挑戦を
面白がる心が、
新たなデザイン
「RETTER」を生んだ。

モビリティに留まらない新しい
クリエイティブへの挑戦。

「GKダイナミックスといえば、モーターサイクル」
そんなイメージをお持ちの方も多いかもしれません。確かに、当社はモーターサイクルをはじめとするモビリティ分野のデザインを主業としています。

しかし、私たちが目指すのは、デザインの可能性を最大化すること。そのため現在、GKダイナミックスでは“総合デザインカンパニー”への進化を目指して、新たな挑戦を楽しみながら、あらゆるクリエイティブに対してデザイナーが奮闘しています。

今回ご紹介する「RETTER(リター)」プロジェクトも、そんな新しいクリエイティブの一つです。コラボレーション活動である「Recycling Meets Design® Project」に参画し、「RETTER」という新しいホテルアメニティを提案しました。

参加メンバーは、企画立案からデザイン作成、商品化に向けたプレゼンテーションまで多岐にわたる役割を担いました。そこには、未知なる挑戦に興味を持って、果敢に取り組むデザイナーたちの姿がありました。

デザイナーという立場から環境について
考えるべきことがある。

デザイナーの視点を掛け合わせてプラスチック製品などのリサイクルを促進すること。
これがDNPさまとのコラボレーション活動「Recycling Meets Design® Project」の目的でした。再生材の可能性を広げるべく、さまざまな企業に所属するデザイナーに声がかかり、GKダイナミックスもそのうちの1社として加わりました。

プロジェクトメンバーの一人である菱木は、参加理由をこのように語ります。
「まずは、純粋に面白そうだと思いました。さまざまな分野で活躍するデザイナーがひとつのテーマに取り組むなんてとてもクリエイティブですよね。自分の感覚や発想を試す場にもなると思いました。また、プラスチックはバイクの主要素材。今は人々の生活を便利に、豊かにしていても、いずれは廃棄され、環境に影響を及ぼすかもしれない。日々の業務の中でそんな危機感を常に持っていました。つまり、「モノをつくること」と「環境を考えること」はセットだと思うんです。だからこのプロジェクトにはとても共感したんです」

そうして集まったメンバーは、小さなチームに分かれて、それぞれでアイデアを考えていきます。GKダイナミックスから参加した菱木と梶田の2名の元には、DNPさまから1名が加わり、計3名のチームで進めることとなりました。

マスターデザイナー
プロダクト動態デザイン部

菱木 啓之

異なる個性を持った仲間がいたから、
「RETTER」は誕生した。

“再生材を用いる”という条件はあるものの、デザインの幅は無限大。そんな中でも、「RETTER」のアイデアは比較的すぐに着地できたと、もう一人のメンバーである梶田は話します。
「もっとリサイクルに興味を持ってもらうためにはどうすれば良いかと考えた時に、楽しんで参加してもらうことが重要だと思ったんです。それで目をつけたのが、“旅行”。当時は、オーバーツーリズムが問題視され始めた頃で、人々の往来の中で廃棄されてしまうものも多いはずだと考えました。あと旅行中は、楽しみながら新しい「モノ」に触れる機会も多いですよね。そこでホテルアメニティに着目したんです。実際に、自分自身も出張で使うアメニティをもったいないと感じていました」

そうして誕生した「RETTER」は、はがきサイズの薄い板を切り離し、組み立てて使うホテルアメニティです。2ミリ程度の薄いプラスチックの板から、くし、歯ブラシ、カミソリ、クリップの4つのアメニティを作ることができます。

CO2排出量が少ないリサイクルプラスチックが使用されており、すべてのアメニティを薄くコンパクトな形状にまとめることで、必要な素材量、製造負荷、輸送コストなどを最小限に抑えています。さらに、使用後はシュレッダー機などでアメニティを細かく粉砕でき、再生素材へと戻すことが可能です。

そうして宿泊者自身の手で組み立ててもらい、最後は自身で素材に戻すという体験を通して、リサイクルのプロセスを楽しみながら、知っていただくことを目指しています。

こうした特徴的な形状は、実は、通勤中に生まれたものでした。メンバー同士で「シュレッダー機で粉砕したら面白そう」「ハガキサイズにして、手紙(Letter)と掛けるのはどう?」と会話の中で生まれたアイデアをブラッシュアップしていくうちにだんだんと具体的な形になったのです。当時を振り返り、梶田は語ります。
「どんなものを生み出せばいいか、菱木さんと一緒に考える中で、和気藹々というか、相手を否定せずに、お互いのアイデアを尊重しながら話し合えたのは大きかったですね。私はメンバー全員が同じ意見・考えを持つ必要はないと思っています。ただ、自分の話を聞いて、理解しようとしてくれる人の存在はすごくありがたくて。GKダイナミックスの社員は、それぞれが自分の意思をはっきりと持っていますが、お互いの違いをきちんと受け入れることができます。だからこそ、私たちはクリエイティブでいられるんだと思います」

「RETTER」は最終プレゼンでも好評を得て、今後はパートナー会社と共に具体的な商品化に向けて進んでいきます。一人ではなくメンバーがいたから、仲間と一緒に課題と向き合ったからこそ、オリジナルのアイデアが生まれ、カタチになったのです。

デザイナー
動態コンテクストデザイン部

梶田 岳

私たちにとってデザインとは
モノやコトの本質から
考え抜くこと。

プロジェクトに参加したことで、メンバーにとって多くの学びがありました。リサイクルに関わる製品のデザインは、メンバーにとってこれまで経験したことがありませんでした。しかし、プロジェクトを進める中で気づいたことがあると菱木は語ります。
「バイクのデザインは、見た目の美しさだけでなく、生産性や軽量化についても考え抜かれているんです。とくに軽量化については、走行性能のみならず、燃費の向上や材料の削減にも貢献します。そうした今までの仕事の中で培った知見が、「RETTER」のような生活雑貨をはじめほかの分野にも生かせると分かったことは、プロジェクトに参加したからこそ得られた学びです」

「RETTER」の最大の特徴である、2Dの板から部品を切り抜いて3Dとして組み立てていくプロセス、そうして使用するプラスチック材を最小限に抑えるというアイデアは、他のチームでは全く出てきませんでした。これは、部材をできるかぎりミニマムにすることを求められるモビリティ製品に携わっているGKダイナミックスだからこそ、生み出すことのできたデザインだったのです。

また、GKダイナミックスには、他のデザイナーやデザイン会社にはないデザインにまつわる文化や考え方があると梶田は語ります。
「当社には、ただ見た目の美しさや斬新さを追い求めるだけではなく、モノやコトを本質から考えるという文化があります。“ガワ”の要素を加えて新しいデザインを作るのではなく、デザインする対象そのものの存在から見つめ直し、その価値を磨け上げようと考え続けること、それをデザインに落とし込むことが私たちの仕事であり、ここで働く面白さだと思います」

デザインは、一種の文化人類学。使う人たちのことを考えなければ、適切なデザインは生まれない。人々の生活にリサイクルの楽しさをもたらす「RETTER」を生み出した彼らには、そのような考えが根付いています。

これまでにない挑戦が、
クリエーションの源泉に。

現在は、“総合デザインカンパニー”として「RETTER」のようなモーターサイクル以外のデザインも手掛けるGKダイナミックス。新たな領域へ挑戦することについて菱木は次のように話します。
「経験したことのない分野に関わることで、それまでまったく知らなかった世界に出会い、それが新たなデザインのための糧となり、デザイナーも成長することができます。それに、どうなるか分からない、何が起こるか予測できない未知の領域に挑戦することは、純粋に面白いし、それが私たちのクリエーションの源泉になるじゃないですか」

さまざまなバッグラウンドを持ったデザイナーたちが「モノ」や「コト」のあるべき姿を見つめ直し、追求し続け、社会に価値を提供しているGKダイナミックス。ここには、そうした一連のプロセスを、ゴールにたどり着くまでに浮かび上がる無限のアイデアを、人と人との違いを、心から興味を持って携わる人たちが集まっています。

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