坂村健氏講演会
1984からTRON OS によって、理想のコンピュータのあり方を追求し続けてこられた坂村先生。この講演会では、ユビキタス(どこでも)コンピューティングについて、欧米の動向や実用例とデザインに対するお考えを伺いました。
坂村先生は、現代は30年前とは考え方が違い、あらゆるモノは組み込まれた極小のコンピュータのネットワークでつながってモノ同士が自動的に働き、今までのようなモノが単独で存在する時代は終わったと言われます。そこでデザインにおいても、モノの在り方の概念を考え直しシステムの一つとしてとらえて、トータルにデザインすることが重要である、との考え方を提示されました。時代の過渡期にあたり、今後のデザインの考えるうえで、たいへんな示唆と刺激をいただいた講演会となりました。
坂村 健(さかむら けん)
東京大学大学院情報学環教授・工学博士。1951年東京生まれ。1984年からTRONプロジェクトのリーダーとして、まったく新しい概念によるコンピュータ体系を構築して世界の注目を集める。現在、TRONは携帯電話をはじめとしてデジタルカメラ、FAX、車のエンジン制御と世界でもっとも使われており、ユビキタス(どこでも)コンピューティング環境を実現する重要な組込OSとなっている。2003 年紫綬褒章受賞、『情報文明の日本モデル』(PHP研究所)、『TRON DESIGN』(パーソナルメディア)など著書多数。