第1回交流
 The Quietness(静けさのデザイン)

デザインの専門の枠をこえて活動している日本デザイン機構という団体の編集委員と同団体の顧問Yrj Sotamaa氏(ヘルシンキ美術大学学長)とのインタビューの席で、両国のデザインの根底には「The Quietness(静けさのデザイン)」というテーマがあるのではないかという話題が提起された。

Yrj Sotamaa氏と日本デザイン機構会長の栄久庵憲司氏(Design for the World会長)との間で両国のデザインの恒常的な交流組織をつくろうという話が進められた。このインタビューの翌日に日本フィンランドデザイン協会の日本側の発起メンバーとユルヨ・ソタマ氏との会合がもたれ、第1回の交流会議をヘルシンキで、第2回を東京で、そしてその後両国でデザインの展覧会(テーマを「The Quietness(静けさのデザイン)」)を行うという合意を得た。

この基本的な方向に沿って、両国で日本フィンランドデザイン協会の設立が図られ、2000年6月18日〜24日にヘルシンキで「White Night Symposium on Quietness」が開催された。
日本からは同評議会会長の栄久庵憲司、同理事長の島崎真、理事の石山修武、伊藤隆道、鳥越けい子、中山あや、わたなべひろこ、伊坂正人、事務局長の村井大三郎、およびフィンランドセンターの所長で日本フィンランドデザイン協会のフィンランド側リエゾンを務めるユッカ・ビータネンの各氏が出席した。フィンランド側は、Yrjo SotamaaSeveri BlomstedtSimo HeikkilaBarbro KulvikYrjana LevantoTapani AartomaaAnne StenrosAntti SiltavuoriMatti RautiolaEsa LaaksonenMarkku KosonenYrjo Wiherheimoの各氏が出席した。

■会議は第1日目を「建築の日」とし、アルバー・アールトの記念館やヘルシンキ工科大学の建築学科などを訪問し、関係者との討議を行った。

■2日目は「デザインの日」とし、Hackman/Arabia社、ヘルシンキ美術大学などを訪問し交流を深めた。

■3日目にFiskars Design Villageに会場を移し、デザインシンポジウムが開催された。Yrjo Sotamaa氏によるオリエンテーション、栄久庵憲司氏の基調講演、そして両国参加者による「The Quietness(静けさのデザイン)」をめぐってのプレゼンテーションが行われた。

日本側からは伝統文化のなかの俳句や庭園づくりの要素である「ししおどし」がつくる心象風景の話から先端のキネティック・アートなどの話題が提起された。
フィンランド側からは自然や時間の使い方に見る静けさのデザインや、静けさのデザインの8つ定義、そしてフィンランド・タンゴを例にとっての静けさの心などが話題としてだされた。両国の伝統文化から現代のデザインそして先端の話題まで様々な角度から静けさのデザインをめぐっての討議がなされた。

この討議の展開を次回に東京の会議で図り、その後の具体的なデザイン展へ結びつけることを確認して会議を閉じた。

■最終日を「文化の日」としてFiskars Design Villageで開催されている「ホテル展」「木の展示会」などの視察交流を行った。

両国のデザインの交流は1986年にヘルシンキで、1987年には日本の北海道でそれぞれデザイン会議が開催された経緯がある。今回は両国に設立した日本フィンランドデザイン協会のヘルシンキにて開催し、次は2001年4月に東京で開催する。今回の会議の成果は「The Quietness(静けさのデザイン)」をさらに継続的に検討することで、両国のデザインや文化に貢献できる何かがあるということが確認されたことである。(伊坂正人)

事務局
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