column 日々、思うこと separate

2021.12.23

コラム

様式美と新しいスタイル

様式美=「一定の流れを守ることでその美しさを際立たせる表現方法」

    「洗練された手順や形式に存在する美しさ」

 

写真で紹介している草花をモチーフにしたレリーフを皮革に施す技法は、北米で19世紀頃より馬の鞍の装飾から発展したカービング技法です。この装飾スタイルはアリゾナのサドルメーカーにて様式を確立し、シェリダンやカリフォルニアなど地域を移りながら、時代に合わせて独自のスタイルに進化してきました。こういった時代や地域を移る過程の中で独自のスタイルを生むことは、様式が確立していればいるほど、そこから脱することは難しいことです。当時の作家たちも様式を踏まえながらも新しさを生むことに苦悩していたと推測します。

様式は規定ではないので「間違っている、間違ってない」は存在しないはずですが、受け取る側が期待する「らしさ」から外れると受け入れられない。その一方で、常に「新しさ」も求められます。「らしさ」を取り込みながら時代や地域など独自の切り口を織り込まないと「新しさ」には中々繋がりません。そもそも「新しい」という言葉自体、過去が無いと成立しない言葉ですから、様式美に限らず新しいコトを生むには、まず過去に敬意を表するところから始めないといけませんね。

( CMFG動態デザイン部 執行役員 青木 省吾 )